2021/05/08 02:23


 
近年では、ブームとなっているマインドフルネスやウェルネス思考を通して自身の内側に目を向け、心身ともに健康で充足した生活を目指す人が増えています。このような情勢の流れに伴い、日本でも CBD 市場が盛り上がりを見せるようになってきました。 
 
CBD は人体に多くの恩恵をもたらすとして、欧米諸国では随分と前から健康サプリメントに位置付けられ、また近年ではますます多くの医学的研究が行われています。しかし日本での CBD に対する法的な見解や世間の目は、決して寛容ではありません。 
 
この記事では日本と欧米諸国の CBD 事情の違いについて、以下で詳しくご説明していきます。 
 
  

アメリカのCBD事情 

  
トランプ前大統領が 2018 年 12 月に産業用ヘンプ栽培規制を撤廃したことで、産業用ヘンプは合法的に栽培が可能となりました。一般的に産業用ヘンプとは、精神作用があり日本でも違法成分として規制されている THC の含有率が 0.3%未満の大麻のことを指します。 
 
2018 年以降、合法化された産業用ヘンプから抽出したカンナビノイド成分を含む様々な健康食品が製造・販売されるようになりました。現在ではアメリカ人の約 14%が CBD 製品を使用しているという調査結果が発表されています。 
急激な CBD 市場の拡大に伴い、ニューヨーク保健精神衛生局は 2019 年に市内での CBD が添加された飲食物の販売を禁止すると発表していましたが、2020 年に規制を緩和し現在では販売可能となっています。 
  

ヨーロッパ諸国のCBD事情 

 
ヨーロッパ諸国における CBD はアメリカ同様合法であり、欧州食品安全機関(EFSA)では「食品」に分類されています。 
 
ヨーロッパの CBD 市場で大きな話題となったのは 2018 年、フランスの KanaVape という企業の製品に使用される CBD が大麻草の茎や種空ではなく、花穂から抽出されていたため、国から
「麻薬」を販売しているとみなされたことで開かれた裁判でした。長く議論された裁判でしたが 2020 年、欧州司法裁判所は 「CBD を『麻薬』とみなすことはできず、欧州連合内では物品の自由貿易が可能であるという条項は CBD にも適用される」と最終判決し、KanaVape の勝利となりました。 
  

日本のCBD事情 

 
日本では大麻取締法という法律が存在し、CBD の原料である大麻は以下のように規制されています。(理解しやすくするために一部抜粋してご紹介しています) 
 
【大麻取締法】 
第一章 第一条 
この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。 
 
第六章 第二十四条 
大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。 
次の各号の一に該当する者は、5年以下の懲役に処する。 
・第三条に違反して、大麻を使用した者 
  
上記の大麻取締法で許可されている“茎”とは、頑丈な繊維で衣類や布製品・ロープの原料として古来から日本文化に重宝されています。 また “種”には脂肪分とたんぱく質が豊富に含まれていることから、七味などに入っている“麻の実”という食品として扱われています。販売する際は、発芽作用を防ぐために加熱加工が必須とされています。 
このように大麻草であっても、茎や種に関する製品を使用・摂取することは違法行為ではありません。安全性も認められていて、大麻の中でも精神作用効果の大きい THC という成分は含まれていません。 
 
2020 年 4 月厚生労働省は CBD について以下の内容を発表しました。 

【CBD製品について】 

大麻草の成熟した茎又は種子以外の部位(葉、花穂、枝、根等)から抽出・製造され た CBD 製品は、「大麻」に該当します。 
なお、大麻草から抽出・製造されたかを問わず、大麻草由来の成分であるテトラヒ ドロカンナビノール(THC)を含有する CBD 製品は、「大麻」に該当しないことが確 認できないので、原則として輸入できません。また、化学合成された THC は麻薬及び向精神薬取締法で「麻薬」として規制されていますので、原則として輸入できません。 
 
上記内容を踏まえた上で、違法ではない CBD 製品とは 
 
麻薬の成分である THC(テトラヒドロカンナビノール)を含まない 

•       CBD 成分の抽出元が、麻(ヘンプ)の茎と種子 

医薬品ではなく、健康食品 
 

この三つの条件を満たしている CBD 製品であれば、日本で販売可能となります。 
  

医薬品としての CBD 

 
カナダやオーストラリア・スペインといった国々では、以下の薬が必要に応じて一般的な薬と同じように処方されています。 
 
【サティスベックス】 
医療用大麻から抽出された、THC と CBD を含む口腔スプレー 
多発硬化症の筋肉痙攣や疼痛・睡眠障害の治療に使われる 
 
【エピディオレックス】 
CBD を主成分とした液体状の経口摂取型の薬 
難治性てんかんの治療薬として使われる 
 
以上の 2 つは、CBD を含む製品として実際の医療現場で活躍しています。サティスベックスに関しては、日本の大手製薬会社である「大塚製薬」がアメリカでの開発・販売権を取得したことでも広く知られています。  
しかし残念ながら、日本の大麻取締法では医療目的の大麻使用が禁止されているため、大麻から
抽出した成分で作られている上記の薬が日本国内で販売されることはありません。 
 
  

日本と欧米諸国のCBD業界において大きく異なる点 

 
各国の CBD 事情の違いについてまとめると 
 
アメリカとヨーロッパでは、産業用ヘンプ(THC が 0.3%未満)から抽出した CBD 製品を製造・販売可能 

日本では、大麻草の中でも THC が含まれていない茎と種から抽出した CBD 製品の販売は可能 

大麻合法国で一般の薬と同じように処方されている、大麻由来の成分が配合されている医薬品でも、日本では販売・使用が禁止 
  
少し残念な点はいくつかありますが、日本でも CBD の持つ力が少しずつ認知度を高めているのは事実と言えるでしょう。近年は大麻における法的な見解が世界で頻繁に議論され、規制や法律も変化しています。少しでも多くの日本人が CBD とその原料である大麻についての

正しい知識と使用方法を身につけ、その恩恵を余すことなく受け取ることができる日が近い将来くることを期待します。